疾患及び病態等に応じて感染経路別予防策(空気予防策、飛沫予防策、接触予防策)を追加して実施する。次の感染経路を考慮した感染対策を採用する。
なお、新型コロナウイルス感染症については、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き」等も参考に院内感染対策を行う。
7-1. 空気感染(粒径5μm以下の粒子に付着。長時間、遠くまで浮遊する)
a. 麻疹
b. 水痘(播種性帯状疱疹を含む)
c. 結核
d. 重症急性呼吸器症候群(SARS)、高病原性鳥インフルエンザ等のインフルエンザ、ノロウイルス感染症等も状況によっては空気中を介しての感染の可能性ある。
7-2. 飛沫感染(粒径5μmより大きい粒子に付着、比較的速やかに落下する)
a. 侵襲性B型インフルエンザ菌感染症(髄膜炎、肺炎、喉頭炎、敗血症を含む)
b. 侵襲性髄膜炎菌感染症(髄膜炎、肺炎、敗血症を含む)
c. 重症細菌性呼吸器感染症
① ジフテリア(喉頭)
② マイコプラズマ肺炎
③ 百日咳
④ 肺ペスト
⑤ 溶連菌性咽頭炎、肺炎、猩紅熱(乳幼児における)
d. ウイルス感染症(下記のウイルスによって惹起される疾患)
① アデノウイルス
② インフルエンザウイルス
③ ムンプス(流行性耳下腺炎)ウイルス
④ パルボウイルスB19
⑤ 風疹ウイルス
e. 新興感染症
① 重症急性呼吸器症候群(SARS)
② 高病原性鳥インフルエンザ
f. その他
7-3. 接触感染(直接的接触と環境/機器等を介しての間接的接触とがある)
a. 感染症法に基づく特定微生物の胃腸管、呼吸器、皮膚、創部の感染症あるいは定着状態(以下重複あり)
b. 条件によっては環境で長期生存する菌(MRSA、Clostridium difficile、Acinetobacter baumannii、VRE、MDRPなど)
c. 小児におけるrespiratory syncytial(RS)ウイルス、パラインフルエンザウイルス、ノロウイルス、その他腸管感染症ウイルスなど
d. 接触感染性の強い、あるいは、乾燥皮膚に起こりうる皮膚感染症
① ジフテリア(皮膚)
② 単純ヘルペスウイルス感染症(新生児あるいは粘膜皮膚感染)
③ 膿痂疹
④ 封じ込められていない(適切に被覆されていない)大きな膿瘍、蜂窩織炎、褥瘡
⑤ 虱寄生症
⑥ 疥癬
⑦ 乳幼児におけるブドウ球菌癤
⑧ 帯状疱疹(播種性あるいは免疫不全患者の)
⑨ 市井感染型パントン・バレンタイン・ロイコシジン陽性(PVL+)MRSA感染症
e. 流行性角結膜炎
f. ウイルス性出血熱(エボラ、ラッサ、マールブルグ、クリミア・コンゴ出血熱:これらの疾患は、最近、飛沫感染の可能性があるとされている)